2012年06月12日放送のTBS系列「はなまるマーケット」にて、「今が危険、あなたのカラダを襲う!カビの恐怖」が特集されました。その番組放送内容を視聴者目線で独自にまとめてみました。
日本列島に、本格的な「カビ」の季節がやってきた。気づかないうちに増える家の中のカビ。使う機会が増えるエアコンから放出されるカビや、考えもしないところからもカビは発生している。
皮膚科専門医・稲葉クリニックの稲葉義方院長は、
「この季節、皮膚の表面でカビが生えることがあります。」
と指摘する。皮膚にカビとはにわかには信じられないことだが、シミのように見えるものの中には、カビが生えている皮膚病が存在するのだ。しかしカビの影響は、皮膚病だけにとどまらない。
国際医療福祉大学三田病院の副院長・呼吸器センター長である佐藤哲夫教授によると、
「カビを知らず知らずのうちに吸い続けると、カビが肺の中に入り込んで増えてしまいます。」
というのだ。
肺のレントゲンで、健康な肺とカビが生えている状態の肺が比較された。健康な状態の肺に比べ、カビが生えた肺は、明らかに白く映し出されている。カビが原因でアレルギー性気管支炎肺亜スペルギルス症となった肺であった。
この比較から、「これは誰にでも発症する恐れのある病気」であるということが説明された。肌のシミや吹き出物、咳まで、もしかしたらカビが原因かもしれないのである。
梅雨の時期や10月の秋雨の頃は、特に危険な時期であり、体を襲うカビの恐怖を知り、その対策をしていく必要があるのだ。女優岡江久美子は、
「体にもカビが生えるのですね。怖いですね。」
とカビによる人体への影響に驚愕しており、さらに
「まさか、肌や肺にカビが生えるということを思いもしなかった。」
と、今の時期の対策の必要性を認識していた。
6月に梅雨の時期と10月の秋雨の時期に空気中にカビが増加することが示された。カビは温度や湿度、栄養があるところに繁殖する。室内のあらゆるところで増殖し続けていて、そこから胞子が放出。私たちはその空気を吸って生活している中で、体に悪影響を及ぼすという一連の流れを知るとともに、生活の中での対策をとる必要があるのだ。
■人体に悪影響を与えるカビの種類とは
体にあるカビとは、どういうものがあり、どんな風に増えていくのだろうか。皮膚科専門医・稲葉クリニックの稲葉義方院長は、次のように語る。
「カビが好きなところは、高温多湿のところですから、皮膚の表面がかっこうのすみかになっています。カビが原因の皮膚病は皮膚の温度、湿度が高くなってくる梅雨の頃、5月6月から急に増えます。」
普段から汗をかきやすい40代の主婦は、あるとき、鏡にて首筋にできたシミを見つけたという。しかし、年齢的なものと気にすることなく過ごしていた。ところが一週間後、シミのようなものが増えていたのだ。心配になって皮膚科を受診すると驚きの事実を告げられる。
「原因は、マラセチア菌というカビです。」
マラセチア菌による癜風(でんぷう)という病気だったのだ。シミのような茶色いものから、広範囲に茶色くなるもの、逆に色が抜けたように白くなるものもある。
稲葉義方院長は、
「マラセチア菌は誰でももっているものなんです。普段は何も症状がなく、悪さをしないわけですけれども、皮膚が高温多湿の状態が続いたりすると、皮膚の脂分を食べて増殖していくわけです。」
と説明する。
さらにこのマラセチア菌は毛穴でも炎症を起こすことがあり、マラセチア毛包炎となることさえある。この炎症は、ニキビや汗疹と勘違いして放置しておくと体に広がることもあるというのだ。生活に潜むカビは皮膚病だけにとどまらない。
■2つの恐ろしいカビによる症状
「この時期の咳は要注意ですね。」
こう指摘するのは、国際医療福祉大学三田病院の副院長呼吸器センター長である佐藤哲夫教授だ。
「カビでおきる恐ろしい病気があります。それはアレルギー性気管支アスペルギルス症という病気です。」
これはアスペルギルスという菌を吸い込んでかかる病気である。教授はさらに、
「アスペルギルスは、どこにでも潜んでいて、誰でもなる恐れがあります。」
と指摘している。よく喘息と間違えられることが多く、咳や痰が多く出る、呼吸困難がでて、胸がゼーゼー・ヒューヒューとなる症状がでてくる病気を発症する恐れがあるというのだ。
タレントのいとうあさこは、
「めちゃくちゃ怖いですね。」
と驚いた様子であった。
自然界の中には、カビは約8万種類もあると言われているが、今回、特に人体に悪影響を与えると取り上げたのが、マラセチア菌、アスペルギルス菌の2つである。
マラセチア菌は、皮膚で増えていくもので、症状として、シミのようなもの(癜風)やニキビやあせもと思ってしまい(マラセチア毛包炎)ほとんどの人が気付かず、広がっていくことが多いようだ。罹患しやすい世代は、油分が多い若い世代が多いという。カビが増殖する条件をすべて揃えているのである。
例えば、最初に高校生が汗拭きタオルを使った後に家族が用いると、家族に広がっていることもある。また女性の化粧の油分や汚れを落とさずに寝てしまうと、それを栄養素としてカビの温床となってしまうこともあるようだ。
もう一つのアスペルギルスは、肺で増える細菌である。
症状としては喘息に似た症状であったり、また呼吸困難であったりするが、咳が続いているなどの症状も気を付けた方がよい。この病気は誰でもり患する恐れがあるものなのだ。この病気は、一番ひどいと「死」に至ることもあるという。咳がとまらない、何かヒューヒューするなど、喘息かなと思ったときはすぐ医師に相談することが必要である。
■カビから身を守るための方法
それでは、カビの脅威から身を守るためにはどんな方法があるのだろうか。
マラセチア菌の対策としては、肌に触れるものを清潔にする。アスペルギルス菌対策としては、生活環境からカビを除去するということに限られる。恐ろしいこれらの菌、家の中でどのようなところに潜んでいるのだろうか。はなまる主婦の濱田信子さんの家で、カビチェックをしてみた。
築7年の一軒家である。カビに詳しい千葉大学・真菌医学研究センターの矢口貴志准教授の協力のもと調べることとした。事前に濱田さん宅のカビを採取し、1週間培養してカビの量や種類を調査。きれいな一軒家であったが、
「一見きれいにみえても、カビというものは目には見えないものなのでカビはどこかに潜んでいるものなのです。カビは、水分と温度、栄養源がそろうとカビが生えてきます。」
と、矢口准教授は話す。事前に調べたデータをもとにカビ潜伏場所をリビング、キッチン、ベッドルームとチェックをしていく。
まずは、リビングの中ではエアコンが指摘された。しかもこのエアコンからは、アレルギー性気管支炎を引き起すアスペルギルスが出ていたのだ。あきらかにエアコンのホコリ、カビが付着していた。
次に水回りである。カビの潜伏場所として、台所のストレーナー、蛇口のシャワーヘッドからカビを検出した。冷蔵庫の野菜室からも発見される。
「冷蔵庫の中は、カビのえさになるものがたくさん入っています。温度がたとえ低くても、生えるカビがあるんです。」
と、矢口准教授は説明している。カビの原因は、野菜についていた土。
「土1gあたりに、約1000個から10万個のカビがいると言われている。野菜室のカビ予防として、野菜は土をよく落としてから乾かして保存することが大事です。」
ということだった。
とにかくカビの温床だったキッチン回り、さら意外な場所からもアスペルギルスが検出されることになる。なんと「エコバック」から検出される。土がついたまま野菜を入れていることが原因だが、週に一回は洗い天日干しすることが大切である。
さらにベットルームをチェックすると、まず検出された枕。矢口准教授によれば、
「汗や油もつき、温度も高いので付着しやすい。」
ということ。驚くべきことは、除湿器からアスペルギルスが検出されたのだ。私たちのイメージとして湿気をとるイメージだが、湿気がたまることと濁った空気を取り入れるためにカビが発生しやすいのである。
チェック事項をまとめると、濱田さん宅の一軒家からはベッド、エアコン、キッチン回り、エコバックなどからカビが検出されたこととなる。いかに日常的にカビを吸い込みやすい環境にあるかということを、認識せざるとえない調査結果だった。
カビというと黒い点をイメージし、目につくところを掃除するだろう。しかし矢口准教授は、
「本来、カビは目に見えないものである、あれだけ点、点にみえるということは、どれだけ増えてしまったのかになります。目に見えないうちに掃除しておくことが大事です。」
と説明した。
■カビを除去する賢い家掃除の方法とは・・・。
しっかりきれいにしているつもりでも、除去されていないカビ。これらのカビを除去するための対策として、プロの掃除を手掛ける株式会社ベアーズ家事研究家の高橋ゆきさんに今すぐできるカビ撃退法を聞いた。
掃除のポイントは「カビの除去と予防が大事」と話す高橋さん。まずはエアコンを掃除するポイントとして、あらかじめ窓を開け、新聞紙を敷き、電源を抜くことだという。フィルターを取り外し、まず固形のホコリを掃除機で吸ってしまうことから始める。
トイレットペーパーの芯を、インスタントノズルとしてホコリを吸い取る。歯ブラシでホコリを落とし、水洗いするのだ。本体のホコリも掃除機で吸い取り、最後に軍手とゴム手袋を用意。ゴム手袋をはめ、軍手を装着した。軍手が雑巾となって、エアコンの届かないところまでも拭き掃除ができてしまうのである。
続いてキッチン回りに入る。蛇口のシャワーヘッドは、台所用洗剤の薄め5~10分漬けて、最後はいらない歯ブラシでブラッシングして流す。ストレーナーは泡タイプの漂白剤を吹きかけ、水と一緒にポリ袋に入れてシェイクしたら15分ほどつけて水で流す。マットレス洗浄は業者へ依頼。ベットルームのマットレスは専用のスチームで吸い取り、赤外線で乾燥させていた。だが手軽に自宅でできる方法として、マットレスを掃除機で吸い取ったら漫画雑誌でマットレスを上げ、風通しをよくすることでもだいぶ違いがあるようある。
梅雨時期のじめじめと湿った気候が続くと、目に見えない細菌が活発化する。こまめな最近除去と身の回りを清潔に保つよう心掛け、今の時期を乗り切りたいものである、と締めくくっていた。
TBS「はなまるマーケット」2012年6月12日放送「要注意!!隠れ糖尿病と糖尿病の最新治療とは?」より