2012年03月19日放送の日本テレビ系列「スッキリ!!」にて、「要注意!!隠れ糖尿病と糖尿病の最新治療とは?」が特集されました。その番組放送内容を視聴者目線で独自にまとめてみました。
40代を過ぎると男女の区別なく増加する「糖尿病」。糖尿病の患者数は、約890万人(2007年厚生労働省国民健康・栄養調査)。進行する動脈硬化、心筋梗塞、失明など発症する恐ろしい病気である。その糖尿病が、健康診断で見つからなくても安心できるとは限らないことをご存知だろうか。
糖尿病の専門外来、しんクリニックの辛浩基院長(日本糖尿病学会専門認定医、医学博士)は「健康診断をしても見つからない『隠れ糖尿病』というものがあるんです。」と指摘する。
■隠れ糖尿病とは、どういうものだろうか
隠れ糖尿病とは正常な状態と糖尿病の間の病気を指し、「境界型糖尿病」と呼ばれるもの。糖尿病の予備軍といっていいだろう。
さらに辛浩基院長は、
「この隠れ糖尿病の段階できちんと治療しないと、糖尿病や動脈硬化になりやすいので注意が必要です。」と警告している。
増加する糖尿病であるのは間違いないことだが、一方、医学の進歩はめざましいものがある。早期の糖尿病であれば、最新の治療によって、治療の負担を減らすことができることが可能になっている。現在の糖尿病とその最新治療法について探っていく。
■隠れ糖尿病と健康診断の盲点
糖尿病とは、食べすぎ、運動不足、不規則な食事によって引き起こされる生活習慣病の一つである。その一歩手前にあるのが、「隠れ糖尿病」なのである。
■正式名称は「境界型糖尿病」
辛浩基院長によると、「普段は正常なのですが、食後だけ血糖値が正常値を越えて糖尿病の状態になるのが特徴で、食事を取らずに行う健康診断では、見つけにくいのが特徴です。」と説明している。
正常な人の血糖値は100mg/dlで食後は130mg/dlmまであがり、元に戻る。しかし、隠れ糖尿病の人は、空腹時の血糖値は正常だが、食後は正常値の上限140mg/dlを越えてしまう状態になってしまうのである。
隠れ糖尿病は、食後にだけ高血糖になってしまうのである。しかし、健康診断では、空腹時に測定するため、隠れ糖尿病を見つけにくいのである。
■隠れ糖尿病のセルフチェックと早期発見のために
ここで、隠れ糖尿病のチェックをしてみよう。
① 食後によくのどが乾く。
② 夜中に何度もトイレにいく。
③ ふくらはぎが1日中むくむ。
④ 全身がだるく、疲れやすい。
⑤ ダイエットをしていないのに、体重が落ちる。
「これらの項目に1つでもあてはまるようであれば、糖尿病、あるいは、隠れ糖尿病の疑いがあるので医療機関にいってきちんと検査をしてもらう必要がある」(しんクリニック辛院長)
しんクリニックに、糖尿病の検査に来たAさん(52才)。糖尿病に罹患している家族や最近、体重が落ちてきたことから検査に来た理由だった。
まずは、空腹時の血糖値を測る。
そして、通常と違う点として、
ブドウ糖負荷試験である。ブドウ糖75gの入った水溶液を飲んでもらい、30分後、1時間後、2時間後の血糖値をとって、上昇する度合いをみて判断するというもの。ブドウ糖を取ることで食後の血糖値を測る検査なのである。これによって、「隠れ糖尿病」を見つけることができるという。
一週間後検査結果がでた。この女性の場合、空腹時120mg/dl,ブドウ糖を飲んだ後では、なんと、正常値上限の140mg/dlを超えた「227mg/dl」という値が測定されたのである。
「隠れ糖尿病(境界型糖尿病)」が見つかり、このままの生活をしていくと、「糖尿病」になることを指導されていた。
■食後だけの血糖値増加は、なぜおこるのか??
そもそも、なぜ、食後だけ血糖値があがるのだろうか。
それには、食事と血糖値の関係にある。
食事を取ると、まず、ブドウ糖が血中に取り込まれ、血糖値があがる。このとき、すい臓からインスリンが分泌され、ブドウ糖を体内に取り込み、血糖値が下がる。しかし、「隠れ糖尿病」の人の場合、インスリンの分泌が悪く、ブドウ糖を取り込みにくいため、食後に血糖値があがり、なかなか値が下がらないようになるのである。血中に増えたブドウ糖は、血管を傷つけるようになり、このまま糖尿病がすすむと、脳卒中、心筋梗塞、失明、足の壊疽により足を切断することも。
しかし、隠れ糖尿病の段階で早期発見できれば、高い確率で進行を防げるという。
「今の状況で、食事と運動をしっかり行えば、60%以上の確率で糖尿病は予防できます。」(しんクリニック辛浩基院長)
このAさんに対しての指導は、・薬を使わない・野菜中心の食事で1日1400キロカロリー以内・食後1時間以内にウォーキングを20分間というもの。もし、これで血糖値が安定しない場合には、薬でコントロールすることとなった。
自宅でも、隠れ糖尿病の検査ができる方法がある。薬局で販売されている「尿糖試験紙」。食後、尿をかけ、色の変化で尿の糖分がわかる。少しでも色が変わったら、専門医に相談することである。
■早期に糖尿病と診断された場合~最新の治療法とは?
糖尿病治療に、今新しい治療法が登場している。辛浩基院長によれば、「今、BOTという最新治療が普及している」とのこと。
これまでは、糖尿病が進行している人に使用されてきた「インスリン注射」。これは、すい臓のインスリン分泌が減っている人に、注射でインスリンを補う治療法。しかし効果は、2~4時間であり、毎回食前に自分で注射しなければならず、患者の負担は少なくなかった。
そんな中、早期の糖尿病患者に使用でき、患者の負担を軽減する新型インスリン注射が登場した。
しんクリニック辛浩基院長によると、「1日24時間じわじわ効くので1日1回で済むようになりました。」と言う。これは、新しいインスリン注射と飲み薬との併用で行うのがBOT療法という新しい治療法である。
実は、これが早期の糖尿病患者に大きな影響を与えているというのだ。
「早い段階でインスリンを使うことによって、自分のすい臓が休まってすい臓からインスリンをでるように復活する場合が多いと言われています。」と辛浩基院長は話す。
早期の糖尿病は、すい臓が弱っている状態。このときにBOT療法を行うことによって、インスリンの分泌が回復するようになる。
実際にBOT療法を受けているBさん(56歳女性)は、
「ぜんぜん大変さはないです。朝起きて、顔洗って、髪の毛を整えて着替えるときに薬を飲んで、注射をうつだけなので大変さはないです。」と話している。
インスリンと薬は1日1回。
体調にも変化が現れてきたという。BOT療法を始める前と比べ、体が軽くなり、食事の量も減ってきたというのだ。さらに検査結果にも変化が現れる。
空腹時の血糖値が2年前は、378mg/dlであったのに対し、現在は124mg/dlという数値になり、すい臓の機能も順調に回復、このままだとインスリン注射もやめることができるようになるという。
「BOT療法をしたからといって、運動や食事療法をしなくてもいいということではなく、基本は運動と食事療法を行った上でのBOT療法」であることの注意が必要である。
■●糖尿病予防法と血糖値をあげない食事とは???
食事をすることで急激にあがる血糖値。これを急激にあげないようにすることですい臓への負担を減らし、食事で血糖値をあげないことが糖尿病の予防といえる。そのためには、食べる順番が大切である。食事で血糖値を急激に上げるものは、炭水化物である。ご飯やパンなどの炭水化物は体内に吸収されやすく、血糖値を急激に上げる。そこで急激に血糖値をあげないための方法を紹介する。
<血糖値を急激に上げないための食事方法>
①野菜から取る。食物繊維は、炭水化物のブドウ糖の吸収を抑える作用がある。
②酢の物を食べる。食べ物を胃から腸へいくのを遅らせることができる。
③利き手と逆の手で食べる。ゆっくりと食べることができるため、血糖値の急激な上昇を防ぐ狙いがある。
急激な血糖値の上昇を防ぐだけでもすい臓への負担が減ることにつながる。
糖尿病は、誰にでも起こりうる病気だ。日々の積み重ねが糖尿病の予防では大切なのである。
今回紹介したBOT療法が早期の糖尿病患者すべてに効果あることではないという認識をもつことと、セルフチェックで思い当たる項目があった場合は速やかに専門医に相談することが大事なことであり、意識しておかねばならない。
日本テレビ「スッキリ!!」2012年3月19日放送「要注意!!隠れ糖尿病と糖尿病の最新治療とは?」より
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